英語嫌いにさせない

1. 英語力の統計上の向上と現場の乖離

  • 文科省の統計では、中高生の英語力は向上しているとされています。例えば、英検3級以上を取得している中学生は約47%、英検準2級以上を取得している高校生は約46%です。このデータだけを見ると、日本の英語教育が順調に進んでいるように見えます。
  • しかし、塾や学校の現場では、実際には英語に対してネガティブな感情を抱く中学生が増えており、統計と現実にギャップがあります。これは、英語力の向上が一部の教育熱心な家庭や補習塾に通う生徒によるものであり、全体的な学力向上を反映していない可能性があります。

香川県でのレベルは全国比較すると中学生、高校生とも低い傾向にある。
特に全国から志願者を有する大学受験では、「英語」はややビハインドのポジションにある。

2. 英語嫌いが増える3つの理由

  1. 小学校英語の必修化後の問題:
    • 小学校での英語教育が必修化されたこと自体は、早期に英語に触れる機会を増やすという点で良い面もありますが、問題は中学校入学後に生じます。
    • 小学校では600~700語の英単語が学習されるとされていますが、これらの単語は「暗記する必要はない」とされているため、多くの生徒が完全には覚えていません。ところが、中学校に進むと、これらの単語はすでに「知っているもの」として扱われ、さらに新しい単語や文法が追加されます。このギャップにより、多くの生徒が学習に追いつけなくなり、英語嫌いになることが多いです。

  2. 文法指導の不十分さ:
    • 現在の中学校英語教育では、文法よりも会話重視の方針が取られていますが、文法教育が中途半端であるため、生徒が混乱しています。
    • 例えば、前置詞や助動詞などの文法用語は習うものの、文法の体系的な指導が行われず、会話表現と文法が矛盾する場面もあります。これにより、生徒は文法の重要性を感じられず、英語の仕組みを理解できないまま授業が進行することが、英語嫌いの要因となっています。

  3. 英検重視の影響:
    • 文科省は、中学生で英検3級、高校生で準2級を取得することを推奨していますが、学校のカリキュラムは必ずしも英検対策に直結していません。
    • 英検に合格するためには、学校の授業だけでは不十分な場合が多く、別途塾や独自の勉強が必要です。これにより、勉強量が増え、特に補習塾に通わない生徒には過度の負担となります。また、英検の結果が高校受験に影響を与える場合もあり、経済格差が教育格差を助長する原因ともなります。このようなプレッシャーが、英語嫌いにつながると考えられています。

3. 英語嫌いを防ぐための対策

  1. 小学生向け対策:
    • 小学生の段階では、英語を楽しく学び、自信を持つことが重要です。出来るだけすべての単語を暗記しましょう。
      また、よく出てくる単語や興味のある単語を覚え、書けるようにすることが推奨されています。
    • 家庭で単語カードを使ったクイズをしたり、覚えた単語を大げさに褒めることで、子供たちに「英語ができるんだ」という自信を与え、モチベーションを高めます。特に英検合格は大きな自信となり、成功体験を積み重ねることが英語嫌いを防ぐための鍵です。

  2. 中高生向け対策:
    • 中高生には、実際の英語を使う楽しさを体験させることも重要です。文法一辺倒ではなく、実際の場面で自分の意見を述べたり、コミュニケーションをとる経験を増やすことが推奨されています。
    • 香川県では、上記の通り全国平均より低い傾向があります。文法、英作文、コミュニケーションもしっかり対応し、大学受験も優遇されている英検取得に取り組んでいきましょう。

4. 全体の問題点と結論

  • 現在の日本の英語教育は、文法と会話、さらには英検対策のバランスが取れていないことから、英語嫌いが増えていると指摘されています。教育現場の中途半端な指導や、英検に対するプレッシャーが生徒にとって大きな負担となっていることが、主な原因です。
  • 学校教育に依存せず、家庭でのサポートや実践的な英語学習の機会を与えることで、子供たちが英語嫌いにならないように工夫する必要があります。
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